2016年12月24日土曜日

Make an IT infrastructure engineer great again


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こちらの24日目の記事なります。


今冬人気のドラマでこんなセリフがありました。
この前か後か忘れましたが「インフラエンジニアはいないと困るでしょう」というセリフもあったような気がします。たしかリストラの話の流れだったと思います。
この部分について、自分の思うところを書いてみようと思います。
確かにインフラエンジニアはいないと困るのですが、しかし「今までみたいなインフラエンジニア」はそのうちいなくても誰も困らなくなる、ってのが実際のところだと思います。

インフラエンジニアの置かれた状況は業種業態によって異なりますが、多くの環境ではインフラエンジニアの価値は下がり続けていると私は考えているからです。
ITインフラの優劣がビジネスに直結・大きな影響を与える通信キャリアや大規模なWEBやコンテンツサービスプロバイダーなどの例外も存在していますが、大多数を占める旧態然としたいわゆる企業の情シスに所属するインフラエンジニアやSIerのインフラエンジニアの価値は間違いなく低下の傾向であり、このままではいずれその価値は限りなくゼロ、むしろ企業にとっては経済的にマイナスの存在(お荷物)になるのでは、と器具しています。

この記事では、「なぜインフラエンジニアの価値が低下しているのか?」という点と「これからのインフラエンジニアはどうすべきなのか?」について自分の考えを整理してみようと思います。



そもそもインフラエンジニアはどこから来たのか?

かつて全てが1つだった美しい時代がありました。
この時代はメインフレームという非の打ち所なく垂直統合された小さくて完全な世界でシステムは完結し、アプリもインフラもありませんでした。エンジニアは完成された世界の中でシステムを作り上げることに専念することができました。
*余談ですが、この時代にウォーターフォールモデルが生まれたり、数々の神話が作り上げられたといいます。

しかし、この完全な世界は突如として終わりを迎えます。ビッグバンが発生したのです。
ビッグバンはHW(リソース)のオープン化とインターネットという2つの強大な力によって引き起こされ、完全な世界は瞬く間にカオスに包まれました。
HWがオープン化されたことで様々なメーカーがパーツを供給するようになり、それらの組み合わせにより膨大な種類のリソースが利用可能となりました。そしてインターネットの普及の風ともに世界中へと広がっていきました。

このカオスを見かねた神はいいました。

「インフラエンジニアあれ」

と。

そう、インフラエンジニア誕生の瞬間です。

経済的な理由からインフラエンジニアは生まれた

インフラエンジニアという単語をGoogleトレンドで検索してみると、2004年くらいからチラホラとその単語が検索されるようになっています。しかし、それ以前の2000年頃にはインフラエンジニアというロールが存在していた企業もあると聞いています。
*ちなみに最後に急激に検索数が上がっているのはドラマの影響だと思われます。


この時代はオープン化によりリソースコストが劇的に下がった一方で、

・様々なサーバーやストレージ、ネットワーク装置が発売されすぎ、それらの組み合わせが膨大となったこと。
・装置(箱)が全く違う操作・思想によって作られているため、それぞれの操作方法を覚える必要があった。

という事態も招きました。
このように、アプリを動かすリソース自身が複雑化してしまったことで、専任担当者をおいたほうが効率が良い=経済的なメリットがある、となりインフラエンジニアというロールが誕生したのはないかと考えられます。


オープン化以降、インフラ領域は分業化が進行し、アプリとインフラが明確に専業化されていきます。
まさにこのオープン・インターネット時代はインフラエンジニアが最も栄えた時代でした。

クラウドの冬

栄華を誇るインフラエンジニアの時代も永続しませんでした。
クラウドという巨大隕石が地上に落下したのです。この隕石の衝突によって巻き上げられた大量のHWは空を瞬く間に覆い尽くし、長い氷河期が始まります。この氷河期はインフラエンジニアとHWメーカーを大いに苦しめます。そう、クラウドの冬が到来したのです。

クラウドは複雑化したITインフラを強力に標準化・単純化し、リソースのコストだけにとどまらず、そこで発生していた作業等の人的なコストを含めて劇的なトータルコスト削減を可能としました。

そこにはインフラエンジニアが頼みとしていた「多数のHW選択肢とその組み合わせ」は存在しません。なんせクラウドベンダー側が複雑性の解消を一手に引き受けてしまうからです。
元々、選択肢の増加に伴う複雑化を効率的(経済的)に解決するためにインフラエンジニアが存在していたのならば、このクラウドの時代においてインフラエンジニアの存在価値は失われてしまったのです。


また経営者の視点で考えると、ほしいのはアプリが提供する機能でありインフラではありません。より経済的にインフラが手に入るのであればクラウドでも一向にかまわないのです。

これまでのシステムが今この瞬間になくなるわけではないので、即インフラエンジニアが絶滅するわけではないですが、徐々に衰退していくことは避けられないでしょう。

新世代のインフラエンジニア

さて、これまでの「HWの多様性」を背景に生まれたインフラエンジニアを「旧世代インフラエンジニア」と呼ぶことにすると、
クラウド時代ならではの「新世代インフラエンジニア」と呼ぶことができる新しいインフラエンジニアが増えつつあります。

これこそがインフラエンジニアが再びグレートになる方法の一つではないかと考えています。
新世代のインフラエンジニアはSSH(Telnet)やシリアルコンソールの代わりに、JenkinsやGitを武器としコードを書くことでインフラリソースをコントロールしていきます。
また、これまでの旧世代のインフラエンジニアが専業化が進んだことでアプリ開発者と分断されていたのに対して、新世代のインフラエンジニアはアプリ開発者へ歩み寄り、より良い開発・テスト・ディプロイのサイクルを一緒に作ることになります。


近年のOpenStack Summitでも、発表されるいわゆる成功事例の多くが、単純に「OpenStackを基盤に導入して成功しました」ではなく、「開発サイクルの改善や、自動化・CICDの実現による開発サイクルの速度アップ等を行うために、ツールチェーンの一部としてOpenStackを採用した」というものが増えています。

まとめると

旧来のHWを中心としたインフラエンジニアは経済的な理由から必要性が薄れつつある。
その代わり、新たにCICDオートメーションを中心とした新世代のインフラエンジニアが登場しつつある。

グレートになるのは新世代インフラエンジニアではないか、という仮設です。

時間がなくてあんまり書ききれませんでしたm(_ _)m
年末年始に加筆修正します。


○参考文献
http://japan.zdnet.com/article/35090649/
http://japan.zdnet.com/article/35092211/
http://japan.zdnet.com/article/35093578/

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