2012年1月12日木曜日

OSSの活用は企業の繁栄を左右する


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IDCジャパンからとても興味深い調査レポートが報告されました。

2011年 国内オープンソースソフトウェア市場 ユーザー利用実態調査とソリューションプロバイダーの採用動向
本調査レポートは、IDCがユーザー企業の情報システム管理者とソリューションプロバイダーの情報システムエンジニアを対象に、OSS(Open Source Software:オープンソースソフトウェア)の採用状況や採用理由、抱えている課題、今後の採用意向などについてアンケート調査を実施し、その結果について集計/分析をまとめたものである。

「金融危機による景気低迷と東日本大震災を経験し、企業のIT投資が抑制されている中、OSSを活用した低コストソリューションの利用はITビジネスの売上増加につながっている。ユーザーがOSSに期待する効果として、導入コストの削減はもちろんであるが、運用保守コストの削減にも大きな期待があり、ソリューションプロバイダーには導入後のTCO削減効果を明確にすることが求められる。特にソフトウェアの運用保守コストの負担増で悩んでいる大手企業に対しては、より大きな効果を発揮することができる。大手企業をターゲットにすることは、ソリューションプロバイダーにとっても大きな売上につながるため、両者にとってWin-Winの関係を築くことができる」

とIDC Japan ソフトウェア&セキュリティのマーケットアナリストである入谷 光浩は分析している。

本レポートの特徴

今までのOSS関連レポートはどんな業種でどんなソフトが使われているといった情報がメインでしたが、今回はOSSの利用と企業の成長にまで言及しています。

OSS利用でコスト削減メリットでもサポートに不安--ベンダービジネスにも効果
OSSの使用実績と過去3年間のビジネスの売上高の変化の関係を分析すると、OSSの使用実績が多いと回答したベンダー企業の37.2%は過去3年間の売上高が増加している。反対にOSSの使用実績が少ないと回答したベンダー企業では増加が15.2%にとどまり、減少が40.5%となっている。これらのことから、OSSの活用がビジネスの成長につながっていると見ている。

この内容は仕事でOSSに携わっている人にとっては非常にありがたいものだと思います。

これまで「これからのシステムにはオープンソースの活用が重要です」と言っても、それは最前線のエンジニア間で通じる感覚であり、物売り営業やPPT/xlsいじりが仕事のメインになっているエンジニア、その他フロントに出てこない人々には通じませんでした。それ故肩身の狭い思いをしている方々も少なからずいます。

それがこのような数値的な根拠をある程度持って出てくると、コミュニティ活動にも参加しやすくなるってものです。


ビジネスとしてのOSS

レポートでは以下のような提言もされています。

IDC Japan、国内オープンソースソフトウェア利用実態調査結果を発表
・ユーザー企業におけるオープンソースソフトウェア(OSS)の最大メリットはコスト削減
・ソリューションプロバイダーの30%以上はOSSプロジェクトが増加傾向
・OSSの使用実績の多さがITビジネス売上高の増加に繋がっている
・サポートに対する懸念やエンジニア不足の課題を業界挙げて解決していくことが必要

IDC Japan、OSSの利用・採用状況を調査、ユーザーもベンダーもOSS活用が成長のカギ
「OSSを活用することは、ユーザー企業にとってもITベンダーにとっても、今後のビジネスを成長させるための重要な要素。ただ、サポートに対する懸念やエンジニア不足など、解決していかなければならない課題も多い」

エンジニアの不足は避けられないでしょう。その代わりこの領域でしっかりとしたスキルと実績を持っていれば、非常にニーズの高い人材となることでしょう。


OSSは日本のITを活性化する

今まで商用ソフトウェアに発生していたコストが、OSSに置き換わることで何が起きるか?

・システムにかかるコストを下げる事ができる
  → 下げたコストを開発に回すこともできる。

・海外のソフトウェアに払っているコストが無くなる
  → OSSのサポートを行う国内ベンダーに回るようになる
    (もしくは自社でOSSをサポートする部隊の稼働コストへ)

これらの相乗効果で国内IT全体の稼働工数が底上げされエンジニアの需要が増えるはずです。

これはIT業界全体にとっても就業人口が増える事で国内のITシステム全体の底上げも図れる上に、全体的に先細り感のある日本経済において新たな雇用を生み出していく効果も期待できます。

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